E351系特急電車、N700系新幹線などは、実車と同様にカーブ区間で振り子または車体傾斜機能が作動します。振り子機能は、振り子動作があらかじめ組み込まれている車両で機能します。
振り子方式
自然振り子方式は、台車と車体の間に設置したコロによって遠心力が作用すると自然に傾斜します。物理的に傾斜が開始されるのは、カーブ区間にはいってから、遠心力が十分にかかった時点となるため、傾斜の遅れが問題となります。E351系の制御付き自然振り子方式は、地上子によって列車位置を確認、カーブ進入時に車体を早めに傾斜します。VRMは、台車の位置情報から傾斜角度を決定します。これは、制御付き自然振り子方式と同様な効果をもたらします。
(N700系は空気バネの調整によって車体を傾ける車体傾斜機能が搭載されています。)
振り子角度の決定
車体の最大傾斜角度は、形式ごとに異なります。実車と同じ傾斜角度が設定されています。(E351系では最大5度)VRMでは、振り子の傾斜角度を台車の位置情報から算出します。また、列車の走行速度も傾斜角度に影響を与えます。(低速で進行した場合、振り子は動作しません。一定の速度以上で振り子が動作します。)
半径の小さなカーブレールを走行するときは、急激な車体傾斜を避けるためにある程度速度を落としてください。(E351系では、70-80km/h程度)また、カーブの手前に緩和曲線をいれるとリアルに車体が傾斜します。実車と同様に動作するため、なるべく実物と同じように線路を敷設、運転速度を制御してください。
振り子の停止
E351系は、東海道本線および新宿近辺走行時に振り子を停止します。VRMでは、スクリプトを使用することで振り子の動作状態を設定できます。編成のスクリプトにSetTiltMode命令で設定して下さい。
パンタグラフ
振り子車両のパンタグラフは、車体に固定されているタイプと台車に固定されているタイプの2種類があります。前者は、車体に固定されているため振り子動作時に、パンタグラフが左右に大きく振れます。路線を改良して、車体が傾斜してもパンタグラフが架線からはずれないようにしています。後者は、パンタグラフが台車に固定(もしくはリンク)されているため、車体が傾斜しても、パンタグラフは傾斜しません。E351系はこのタイプになります。線路設備の改良が不要という利点がありますが、車内スペースが必要になる、台車の振動がパンタグラフに直接影響するなどのマイナス面があります。VRMでは、実車と同様に車体固定と台車固定の2種類があります。
振り子の振動
線路の敷設は、数学的に計算されます。模型製品は、線路自体のしなりなど幾何学的に厳密なカーブではありません。数学的に計算されることにより、ときに計算上の誤差(三角関数による演算上の誤差)が発生、線路の接続部分でわずかなずれが生じることがあります。
通常の列車走行には影響ありませんが、振り子車両を高速でずれが生じている部分を通過させると、ずれを拾い上げて、車体が振動する場合があります。走行上、問題はありませんのでご了承ください。フレキシブルレールを使用することで、誤差を小さくすることができます。