コンピューターですべてを数値演算で処理する「シミュレーター」は、物質で構成されるリアルワールドと大きく異なります。鉄道模型シミュレーターと実際の模型とでは、構造上の大きな違いが多数あります。特にレイアウト設計に使用される際は、構造の違いを十分に考慮に入れてください。
- 模型は、「物質」としての固さがあります。鉄道模型シミュレーターは、すべてを「数値」で表現する仮想的な世界です。「物質」としての固さはありません。
- 車輌の連結間隔は、実車の雰囲気を再現する方向で設定しています。しかし、Nゲージは実際の鉄道と比べると極端に急なカーブ区間を列車が通過します。このため、Nゲージの連結部分は「あらかじめ広めにとる」か「伸縮式」の2種類の対策が行われています。鉄道模型シミュレーターは、連結間隔が固定のため急なカーブ区間では、車輌が重なります。回避するためにはなるべく大半径のカーブレールを使用してください。
- 模型では、2本のレールに電気を通電する仕様となっています。ポイントからわかれていったレールがふたたびポイントにもどってくるようなリバース構造は、プラスマイナスが逆になるためギャップとよばれる非通電区間を設定します。鉄道模型シミュレーターは、通電状態と関係なく動作するため、リバース構造にギャップは必要ありませが実際のレイアウト設計に使用される場合は、通電区間のプラスマイナスを十分考慮に入れてください。リバース区間は必ず走行列車の全長より長く設計してください。
- 鉄道模型シミュレーターの勾配区間は、計算によって運行されます。このとき、傾斜角度、重力の影響は無視されます。また、ある程度無理な設定がされている区間も強力な計算機構によって運行されます。
- 解放ランプは、機能しません。ダミーモデルです。(模型は特殊なカプラー(連結器)と磁石が組み込まれた解放ランプレールにより編成分割が可能です。)同様な機能は、スクリプトで実現可能です。
- TOMIXカーブポイントは、模型と同じ寸法仕様で制作されています。カーブポイントは、「レール接続部分の誤差」を利用して「カーブ区間の渡り線」と「カーブ区間から複線分岐」の2つの幾何学的な矛盾をジョイント部分に余裕を持たせた設計で回避しています。鉄道模型シミュレーターは内部計算をある程度厳密に行うため「レール接続部分の誤差」の取り扱いが厳しくなっているため、カーブポイントは特殊な敷設方法が必要です。
- VRMは、ジョイントにあわせて橋脚を配置するという制約があります。実際の模型製品とは橋脚を設置できる箇所に違いがあります。模型製品と同様な配置をする場合は、ジョイント部分に透明橋脚を配置してから、それ以外の橋脚を模型製品にあわせて配置してください。
- 一部の線路は、VRMの構造上の制約から水平に配置する必要があります。